ザワザワする胸のあたりを押さえて、何度深呼吸をしてみても治まらない。
ダメだって思っても。
違うって言い聞かせても。
もう、誤魔化しきれない。
勢いよく駆け込んだ美術室には、徐々に部員が集まり始めていて。
その中に美帆の姿もあった。
美帆が見ているのは、あたしの作品で。
「葵、すごいじゃん!!」
だいぶカタチになったそれを眺めたまま、少し興奮気味に声をあげた。
昨日までほとんど下書き状態の絵が、この短時間の間にこんなにも進むなんて思ってもいなかったのだろう。
背景のあのオレンジ色も、あたしの脳裏に残るあのオレンジをそのまま表現できた気がする。
「頑張ったね」
だけど、今のあたしには美帆のその言葉も胸に出来た傷を深くえぐってくる。
「……美帆っ!!」
ダン、と床を蹴って。
勢いよく美帆に飛びついたあたしを支えきれずに、後ろに倒れそうになって足を踏ん張る美帆を気にする余裕もなかった。
美帆の腰が机にぶつかって、その上の画材がガシャンと音を立てながら床に散らばった。
「ちょっ、葵!? どうしっ……えっ?」
震えるあたしに身体に気がついた美帆は、ただオロオロするだけで。
彼女の制服を掴んだあたしの手にさらに力が加わった。

