「美帆、今日はもう帰るね」
まだ作業中の美帆の背中に話しかけると、顔をだけこちらに向けて『うん、また明日ね』と笑顔をくれる。
「うん、じゃあね」
バイバイ、と手を振るあたしをすでに見ていない美帆も肩越しにヒラヒラと手だけを振ってくれた。
これ以上は彼女の邪魔になると思って、そのまま美術室を後にした。
昨日のあの公園を目指して、裏門へと向う。
昨日と同じ景色なのに、昨日とはまた違って見える。
自分の気持ち一つで、見える景色まで色が変わっていくのだ。
昨日はただ単純に吉良先輩と一緒に帰れるってソワソワしていた気持ちも。
今は、ちょっと複雑で、ちょっと期待してて、嬉しいようなでも切ないような。
言葉では表せない不思議な気持ち。
「お待たせしました!」
公園の中に先輩の姿を見つけると、大きく手を振って駆け寄っていく。
笑顔、ちゃんと不自然じゃないかな?
「遅い」
そう言いながらも、先輩の表情はいつもと変わらなくて。
だから、きっと怒っているわけでもないだろうと、ホッとしている。

