気がつけは2時間は描き続けていただろうか。
誰もいなかったはずの美術室の中には、チラホラと他の部員が増えていた。
みんな自分の作品の最後の仕上げに取り掛かっている。
集中力が途切れた瞬間に疲労の波に襲われて。
そのまま後ろに倒れるように、イスの背もたれに身体を預けて脱力した。
「すごい集中してたね…」
「美帆……」
来てたんだ、なんて言葉にすれば。
美帆は少し呆れた笑みを浮かべながら、目の前のあたしの作品に視線を移した。
昨日までの完成間近のものとは違うそれを見て。
美帆は驚き目を見開いた。
「葵…これって……」
息を呑む美帆に、切なく微笑む。
「コレが今のあたしの『儚い夢』なんだ」
一度途切れてしまった集中力は、そう簡単には戻ることもなく。
キリの良いところで終わりにした。
時計を見遣れば、もうすぐ6時になる。
日が長くなったこの時期は、まだ外は明るかった。
ふとスマホに視線を落とす。
昨日の約束は、有効なのだろうか。
あんなあからさまに嫌な態度をとられたあとで。
どんな顔して会えばいいのかもわからない。
…どんな顔、って。
そんなの普通でいいんだ。
むしろ、こっちも嫌悪感たっぷりな感じで接してもいいのかもしれない。
だって、あたしは先輩のことが『嫌い』だから選ばれたのだ。

