◇ヌードで魅せて◇



クラスの作業も早々に切り上げて、足早に美術室へと向った。

まだ早い時間のせいか、美術室の中には誰もいなかった。


もうすぐ完成予定の自分の作品の前に立って。

ただボーっと眺めていた。


昨日、咄嗟に思い立った作品の変更。

あと4日。

作品を仕上げるためには、美術室に篭りっきりになるしかないのもわかっている。

出来ないことなもない。

だけど、そうなるともうあの先輩の隠れ家にはいけなくなってしまうんだ。

先輩と過ごす貴重は時間を、制作に当てなければならないんだ。


「…よし!」


真っ白なキャンバスにペンを走らせていく。

頭に描いたものをカタチにするべく黙々と描いていった。


どうしても描きたかった。

描いてみたかったんだ。


思い出すだけで切なくて、だけどどこか温かくて。

考えただけで涙が溢れてしまいそうで。


あたしにとっての『儚い夢』


ガラガラ…とドアが開いたことにも気がつくことなく。

ただがむしゃらに、夢中になって描くことだけに没頭する。


周りなんて見えない、聞こえない、自分の世界の中に入り込んでしまうくらい。

何も気がつかない。


だから、誰が入ってこようと。

誰かが覗いていようと。


そんなのは今のあたしにはまったく関係なかった。