クラスの作業も早々に切り上げて、足早に美術室へと向った。
まだ早い時間のせいか、美術室の中には誰もいなかった。
もうすぐ完成予定の自分の作品の前に立って。
ただボーっと眺めていた。
昨日、咄嗟に思い立った作品の変更。
あと4日。
作品を仕上げるためには、美術室に篭りっきりになるしかないのもわかっている。
出来ないことなもない。
だけど、そうなるともうあの先輩の隠れ家にはいけなくなってしまうんだ。
先輩と過ごす貴重は時間を、制作に当てなければならないんだ。
「…よし!」
真っ白なキャンバスにペンを走らせていく。
頭に描いたものをカタチにするべく黙々と描いていった。
どうしても描きたかった。
描いてみたかったんだ。
思い出すだけで切なくて、だけどどこか温かくて。
考えただけで涙が溢れてしまいそうで。
あたしにとっての『儚い夢』
ガラガラ…とドアが開いたことにも気がつくことなく。
ただがむしゃらに、夢中になって描くことだけに没頭する。
周りなんて見えない、聞こえない、自分の世界の中に入り込んでしまうくらい。
何も気がつかない。
だから、誰が入ってこようと。
誰かが覗いていようと。
そんなのは今のあたしにはまったく関係なかった。

