教室について、当日のシフトを決めた。
午前と午後で分けることに決まっていて。
あたしと美帆は午前の部。
梓は午後の部。
当日、梓とは休憩時間に一緒に校内を回ることは出来ないことに少し寂しく感じるけれど。
公平にじゃんけんで決めたのだ、仕方ない。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
お客さん役の男子生徒に、無駄に愛想を振りまきながら。
ニコリ、とコレでもかと言うくらいの笑顔で上目遣いをする。
使用する用語もいくつかマニュアルが作られていて、けっこう本格的なメイドになりきる。
って、本格的なメイドなんて実際は知らないけど。
マンガとかドラマとかから得た知識がほんの少しあるくらい。
「ヤバイ、わ。葵に悩殺されてる……」
真っ赤になって目を逸らす男子生徒を見て、梓はキラキラした目で嬉しそうだった。
「さすが葵! やっぱりナンバーワンは違うわ~」
大袈裟にあたしを褒める梓に、周りも面白がってヨイショしてくれるから。
調子に乗ってさらにぶりっ子になってみる。
こんなのあたしのキャラじゃないってわかってる。
「嫌々だったくせに、ノリノリじゃない」
教室の中、みんなの笑い声が響き渡って。
まだ当日でもないのに、すでにお祭り騒ぎだ。
「だってせっかくだし、楽しまなきゃね!」

