メイクはまだいい。
もともとスッピンに近かったあたしだけれど、先輩のモデルになると決めたあの日からきちんとメイクをしてくるようになった。
スキンケアもリップケアもちゃんとしてるつもり。
そのかいあってか、リップグロスとチークを足すくらいで済んだのだけれど……
「……ありえない」
ツインテールとか、そんなのダメではないでしょうか。
「はーい。準備終わった人から教室へ行ってくださーい!」
「えーぇっ!! 絶対に無理!」
あたしの悲鳴にも似た拒絶の言葉は、まさかの完全スルーときた。
と言うか、初めこそ恥ずかしがっていた子達もいつの間にかノリノリで。
教室の中を見渡せば、嫌がっているのは自分だけだという事実。
美帆までまんざらでもない顔して、梓と楽しそうに話をしていた。
こんな格好で廊下に出ろと。
このまま教室へ行けと。
そんなの注目してくださいと言っているようなものじゃない。
ジロジロと感じる視線に、不快感が膨らんでいく。
前を向いてなんて歩けないと、少し俯き加減で。
クラスメイトの中に埋もれるように、ひっそりと気配を消しながら教室へと向かっていった。
チラッと見られるだけならまだいい。
あからさまな嫌らしい視線に、背筋がゾゾッとする。
「…あっ」
俯いたままのあたしの隣で、美帆が何かに気づいて小さな声をあげる。
「な、何…?」
「ほら、あそこ」

