◇ヌードで魅せて◇



固まったままで、瞬きも忘れるくらいで。

だけど、ちゃんと覚えている。

耳に残る先輩の心地良い声。


先輩が見えなくなってから慌てて、その覚えている番号を自分のスマホの中に登録した。

忘れる前に……

なんて、そう簡単に忘れられないくらいに衝撃的で。

それに、あたし記憶力だけは無駄にいいんだ。


まさか、吉良先輩の番号を知ることができるなんて思ってなかった。


ギュッと握り締めたスマホに、勝手にニヤけてしまう締りのない顔。


「…好きじゃない」


呪文のように言い聞かせていた言葉も。

今じゃ、全然意味がない。


好きじゃない。

好きになってはいけない。


あたしは、先輩のことが嫌いなんだから。

だからダメなんだって。

自分の気持ちに気がついたら。

先輩と一緒にはいられないんだって。


いつもより強く自分の言い聞かせて。

そのたびに、胸がギュッと締め付けられて苦しくて。

泣きたくなる自分に喝を入れるように、パチンと両頬を叩いた。