◇ヌードで魅せて◇



家の近くの空き地で降ろしてもらって。

被っていたヘルメットを先輩に返しながら。


「ありがとうございました」


深く頭を下げてお礼の言葉を口にした。


本当は、恥ずかしくて先輩の顔が見られないから俯いてるだけ。

いくら日が暮れて暗くなったからといっても。

すぐそこに外灯がある。


こんな馬鹿みたいに惚けた顔を、先輩に見られるわけにいかないのだ。


夢のような時間だった。

こんなこと、もう二度とないかもしれない。

ううん、あったらいけないんだ。


先輩に返したヘルメットをチラッと見て、また伏せた瞳。

先輩の手には、先輩には不釣合いのピンクのヘルメット。


これって、誰のですか?


なんて、怖くて聞けない意気地なしのあたし。


だって、そんなの“彼女”以外に誰がいるというのだ。


だから、好きになったらいけないの?

だから、『嫌い』と言ったあたしが好都合だったの?


先輩にぶつけることの出来ない疑問を。

心の中で呟くしかできない。


家の前まで送ると言ってくれた先輩に。

この空き地で良いと言ったのも。

万が一、近所の人や親にでも見られたらいろいろと面倒だと思ったから。