「掴まらないと落ちるぞ」
また腕を引かれて。
その勢いで、そのまま先輩の背中に抱きつく形になった。
色濃く感じる先輩の匂いと温かさにまたクラクラする。
先輩からあたしの姿が見えていないのは、せめてもの救いだった。
恥ずかしさで、体温がどんどん上昇している気がする。
その熱が頬に集まって、夕日に負けないくらい真っ赤になってる気がする。
こんなふうに先輩に触れていることがまだ信じられなくて。
だけど、確かに感じる先輩の体温に胸がキューっと締め付けられた。
ブォォン、と大きな音を立ててエンジンをかけると。
「しっかり掴まっとけよ」
そう言って、ゆっくりとバイクを動かした。
生暖かい風を、さっきのブランコよりもずっと強く感じた。
はじめは怖くてギュッと閉じていた目も、次第になれてようやく目を開けることができた。
思っていたよりもずっと怖く感じなかったのは、きっと先輩が安全運転を心がけてくれたからかな。
なんて、あたしの都合のいい考えだろうか。
ギュッと少しだけ腕に力を入れて、先輩との距離も少しでも近づけたかった。
こんなことこ先あるかわからないもの。
だから、先輩の体温を匂いを、少しでも多く感じたかった。

