◇ヌードで魅せて◇



けっこう近い距離で見つめ合ってるはずなのに。

不思議といつもの緊張感を感じないのは、部屋が暗いせいだろう。

二人の距離感が少しだけ麻痺してる。


「帰るんだろ?」

「え…、はい。今日はもう帰ろうかと……」


結局、写真も撮ってもらえなかったし。

自分の作品の製作も出来なかったけど。


先輩が何が言いたいのか全然わからなくて、小首を傾げていると。


また先輩が、フッと鼻で笑ったような気がした。


「先輩…?」

「送ってく」

「えっ…!?」

「だから、そこで待ってろ」


思ってもみなかった言葉に固まるあたしを余所に、先輩はすぐに背を向けて離れていく。

しばらく目を見開いたまま動けなくて。

だけど、言葉の意味を理解したとたんに、ありえないほど心臓がドキドキし始めた。


「先輩…?」


背を向けたままの彼に呟いたところで、また何も応えてくれない。

今のは空耳なのかもしれない。

あたしの都合のいい妄想なのかもしれない。


どうしたらいいのかわからなくて、そのまま立ち尽くすあたしに。


「ここ片して鍵閉めたら行くから。先行ってろ」