先輩の大きな身体が、あたしの前に大きな影を作る。
目の前には、薄暗い部屋のせいでほとんど見えない先輩の制服のブレザー。
「あ、そろそろ、帰りますね」
適当に荷物を詰め込まれてパンパンになったカバンを胸に抱えて。
小さく会釈をしたあと、先輩に背を向けたときだった。
「裏の公園」
静寂の中、少しだけ擦れた先輩の声があたしの鼓膜を振るわせた。
「えっ…」
振り返ったところで、先輩の顔なんてよく見えない。
だけど、反対にあたしの表情は、窓からまだ少し差し込んでくる夕日のオレンジに照らされていて。
目を見開いたアホ面を、しっかりと見られたことだろう。
フッと、鼻で笑われた気がして。
ほんの少し肩が震えたような気がして。
途端に恥ずかしさで、頬に熱が集まっていくのを感じた。
きっと、馬鹿みたいに真っ赤な顔してる。
だけど、そんな赤面したあたしの顔を、夕日のオレンジが少しだけカモフラージュしてくれてるだろう。
「裏門抜けて左に行くと、小さい公園がある」
「公園…ですか?」
「そこで、待ってろ」
「えっ…?」
待ってろ…って?
もしかして、そこで写真撮るの?
でも、もうすぐ太陽も沈んでしまう。
だとしたら、明日のこと?
頭の中で、あれこれ考えてながら。
パチパチと瞬きを繰り返しながら先輩の顔を見上げた。

