気がついたら、部屋の中は薄暗くなっていた。
どのくらい時間が経ったのだろう。
窓の外に見える海は太陽でオレンジ色に光っていた。
この部屋の電気をつけることはないのを知ってる。
きっと、この場所を気づかれないためだろう。
この部屋の前の廊下から生徒たちの声が微かに聞こえるけれど。
真っ暗なこの部屋の前を、みんななんでもないように通り過ぎていく。
こんな埃っぽくて物置みたいな部屋に、誰が好んで来るというのだ。
ここに、こんなふうに吉良先輩がいるなんて。
誰も思わないだろう。
遠くなっていく楽しそうな声を聞きながら、そんなことを思っていたあたしの目に。
パイプイスに深く背中をあずけ、腕を組んで目を閉じている先輩の姿が入ってきた。
「えっ……」
いつの間にか片付けられたパソコンにカメラ。
慌ててスケッチブックをカバンの中に押し込んで。
机の上から飛び降りた。
「ご、ごめんなさい!」
思った以上に大きな声が出てしまって、ヤバイ…と両手で口を押さえた。
廊下にまだ誰かがいて、今の声を聞かれたかもしれないと思ったら。
先輩の大切なこの場所が見つかってしまうんじゃないかとヒヤッとした。

