おもむろにカバンから取り出したスケッチブックと鉛筆。
開いた真っ白なそのページに、先輩の後ろ姿を描いていく。
気に入ったもの、気になるものをこうやってデッサンするのが好きで。
このスケッチブックの中には、そのときみつけた小さなシアワセがたくさん描かれている。
振り向くことのないこの背中を。
少しだけ見える横顔を。
夢中になって描いていく。
ただひたすら、お気に入りの中にその姿を刻んでいく。
ただただ、夢中だった。
思った以上に大きなその背中を。
少し長めの前髪で影になった真剣なその横顔を。
真っ直ぐに写真を見つめるその瞳を。
忘れてしまわないように。
この真っ白なページに、色濃く刻んでいく。
だって。
すぐに終わってしまう。
この時間はずっと続くことなんてないのだから。
ここは、本来、あたしがいる場所ではないのだから。
だから、少しでも胸に刻みたい。
瞳に焼き付けたい。
あたしがこの場所で、こうやって先輩の側にいられるのは。
文化祭までの期間限定。
タイムリミットは、あと5日。

