◇ヌードで魅せて◇



おもむろにカバンから取り出したスケッチブックと鉛筆。

開いた真っ白なそのページに、先輩の後ろ姿を描いていく。


気に入ったもの、気になるものをこうやってデッサンするのが好きで。

このスケッチブックの中には、そのときみつけた小さなシアワセがたくさん描かれている。


振り向くことのないこの背中を。

少しだけ見える横顔を。

夢中になって描いていく。

ただひたすら、お気に入りの中にその姿を刻んでいく。


ただただ、夢中だった。

思った以上に大きなその背中を。

少し長めの前髪で影になった真剣なその横顔を。

真っ直ぐに写真を見つめるその瞳を。


忘れてしまわないように。

この真っ白なページに、色濃く刻んでいく。


だって。

すぐに終わってしまう。


この時間はずっと続くことなんてないのだから。

ここは、本来、あたしがいる場所ではないのだから。


だから、少しでも胸に刻みたい。

瞳に焼き付けたい。


あたしがこの場所で、こうやって先輩の側にいられるのは。

文化祭までの期間限定。


タイムリミットは、あと5日。