◇ヌードで魅せて◇



またしばらく会話がなくなる。

モデルを承諾してから1週間ほど経つけれど。

会話もほとんどない。

写真も撮ってもらえない。

今日もまた先輩は写真を撮ろうとはしなかった。


この部屋であたしが見ているのは、先輩の後ろ姿ばかり。


それを“寂しい”なんて思ってはいけないことくらいわかってる。


ここにあるのは、先輩に“興味のない”あたしなのだから。

だから、先輩に近づくことは、決して許されないのだ。


「先輩」


あたしの声は、周りの教材や本などに吸収されてしまう。

聞こえなかったはずはないのに。

答えてはくれない。


パソコンから一度も目を離さない吉良先輩の背中を、近くにあった机に座って眺めていた。


絵になる人だな……


先輩の背中と、ときおり見える横顔から。

切なさとか儚さを感じる。

だけど、その中に混ざった温かさ。


この不思議な空間は、やっぱり“あの写真”の雰囲気によく似ていた。

写真って、撮る人の気持ちや雰囲気をそのまま現しているんじゃないかって。

だから、先輩の纏う雰囲気に、あたしのココロは惹かれてしまうんじゃないかって思う。