またしばらく会話がなくなる。
モデルを承諾してから1週間ほど経つけれど。
会話もほとんどない。
写真も撮ってもらえない。
今日もまた先輩は写真を撮ろうとはしなかった。
この部屋であたしが見ているのは、先輩の後ろ姿ばかり。
それを“寂しい”なんて思ってはいけないことくらいわかってる。
ここにあるのは、先輩に“興味のない”あたしなのだから。
だから、先輩に近づくことは、決して許されないのだ。
「先輩」
あたしの声は、周りの教材や本などに吸収されてしまう。
聞こえなかったはずはないのに。
答えてはくれない。
パソコンから一度も目を離さない吉良先輩の背中を、近くにあった机に座って眺めていた。
絵になる人だな……
先輩の背中と、ときおり見える横顔から。
切なさとか儚さを感じる。
だけど、その中に混ざった温かさ。
この不思議な空間は、やっぱり“あの写真”の雰囲気によく似ていた。
写真って、撮る人の気持ちや雰囲気をそのまま現しているんじゃないかって。
だから、先輩の纏う雰囲気に、あたしのココロは惹かれてしまうんじゃないかって思う。

