「だいたいこの一眼レフのデジカメ、フイルムのほうが味があって好きだけど現像が面倒だからな」
二つのカメラを指差し、そんなことを言う。
意外だった。
だって、いつもどんな質問をしたところで、まともに答えてくれたことなんてなかったから。
だから嬉しくてつい、笑顔になってしまう。
そんな愛おしそうな顔しちゃって。
本当に写真が好きなんだな。
「あれ…? でも、いつも暗室にいますよね?」
「あ…、あぁ…」
あたしの言葉に、今度は歯切れの悪い返事が返ってくる。
不思議に思って少し小首を傾げながら先輩を見遣ると。
あからさまにプイッと視線を逸らされてしまった。
…何それ。
感じ悪い。
なんて思ったけれど……
あれ? 今、あたし何言った?
やってしまった…と気がついたところで遅かった。
いつも、とか。
先輩のことを気にしていつも見てましたって、言っているようなものだ。
挙動不審になったところで、先輩はあたしに背中を向けているから見えないけれど。
今、どんな顔をしているのだろう。
今、何を思っているのだろう。
さっきの歯切れの悪い感じは、もしかしたらそのせいだったのかもしれないと思うと。
一人、紅く染めた頬を両手で押さえて。
ギュッときつく目をつぶった。

