「ごめんなさい。あたしにはモデルなんて無理です」
身体が半分に折れるほど深く頭を下げた。
一秒でも早くこの場所から離れたくて。
だから、何度も『ごめんなさい』と謝って。
散らばってしまったファイルを手に取り机の上に戻していく。
「困る。モデルが必要だから」
「じゃあ、違う人にお願いしてください」
「無理」
「む、無理…って」
そんなこと言われたって、あたしだって無理だ。
思わず、はぁ…と零れてしまった溜息は。
きっと、先輩にもよく聞こえてしまっただろう。
なんて居心地が悪いんだ。
多少雑でも、とにかく早くこのファイルを元に戻して逃げてしまおう。
そう考えて、黙々と片付けていると。
「モデルの条件は?」
「えっ…」
座り込んだまま見上げた先には先輩がいて。
だけど、逆光になってその表情はよく見えない。
「条件」
「…先輩を、好きにならないこと?」
「そう。だからあんたが好都合なんだ」
それは、あたしが先輩のこと“嫌い”って言ったから?

