「あの…」
沈黙が耐えられなくて。
その瞳に耐えられなくて。
口を開いたのは、またあたしの方。
「どうして、あたしの名前…知ってたんですか?」
だけど、先輩は何も言ってくれない。
「なんで、あたしなんかがモデルなんですか?」
特別可愛くもない。
スタイルだってよくない。
いろいろ疑問に思うことばかりで。
どうして、なんで、とそんな言葉ばかりが頭に浮かんでくる。
それを先輩に問いかけたところで、答えなんて返ってこなくて。
結局また沈黙になってしまう。
もう、ホント…どうしろっていうんだ。
なんだか泣きたくなって、だけど絶対に泣きたくなくて。
下唇を噛んでグッと堪えた。
その瞬間。
フワリとその場の空気が動いて、途端にあたしの唇に触れた先輩の長い指。
「噛むな、切れるぞ」
突然のことで、先輩をポカンと見上げると。
下唇に触れた指がかすかに動いた瞬間、あたしの中にビリッと電流が流れる。
よくわからない感情に身体が微かに震えて。
慌てて後ずさり、先輩から離れると。
あたしの身体は後ろにあった机にぶつかって。
ドサドサと音を立てて何かが雪崩を起こした。
あぁ、もう…
何やってるんだろう。

