一人イラつく気持ちをどうにか抑えようと。
軽く深呼吸をしながらギュッと拳を握り締めた。
そんなことで、そう簡単に冷静になってなれないけど。
しないよりはマシだと、何度か深呼吸を繰り返す。
お互い無言のままで。
窓から差し込む夕日が、だんだんと赤く染まっていって。
その赤が先輩の横顔を照らしていた。
デジャブ。
あの写真と重なって。
なんだか哀愁が漂っているように見えた。
どうしたらいいのかわからなくて。
だからと言って、ここから動くことも出来なくて。
目の前にただ立ち尽くす先輩の顔をゆっくり見上げると。
まるで、あたしが視線を上げるのを待っていたかのように、二人の視線がピタリと重なる。
無表情だと思ってたのに。
その瞳が、酷く優しいものに見えた。
そんな先輩の顔を夕日のオレンジ色が染めていて。
哀愁が漂っていたと思っていた先輩から、温かさまで感じられる。
…ずっと、見てた?
そんなはずないのに、そう思ったらドクン…と胸が跳ねた。

