◇ヌードで魅せて◇



ゴクリと唾を飲み込み。

手のひらにはじんわりと嫌な汗をかく。


さび付いたドアは、ガラガラ…と軋んだ音を立てて。

開けた瞬間に、埃っぽさが体に纏わりつく。


こんな薄暗くて埃っぽい場所にいたら、体に悪そう。

なんて思いながら、口許を手で押さえたまま奥の方へと進んでいった。


「…失礼します」


返事はない。


「あの……」


背の高い本棚が並んでいて。

今は使われていないであろう教材や資料が乱雑に置かれていた。

この間はそんな余裕はなくて良くわからなかったけれど。

この本棚のせいで部屋の光は遮られてしまって、昼間なのに薄暗いのだ。


こんなところに、本当に先輩はいるの?


シーンと静まり返る室内。

迷路のような部屋の中をどうにか通り抜け、奥へと進んでいく。

物置のような小さな部屋かと思っていたけれど。

奥のほうがまだいくらか広いようだった。

棚の間から光が漏れていて。


その先、少しだけ広く開いたスペースがあった。

でも、それはどう見ても意図的に作られた空間で。


まるで秘密基地。


「…先輩?」


ガタンと物音がしたような気がして。

恐る恐るそちらへと近づいていくと。


「あっ……」


窓際。

赤くなりだした夕日にカメラを向ける先輩の姿が飛び込んできた。