「いつまでも甘えてたら…ダメだってわかってた。ねぇ、雅…」
真っ赤な瞳のまま、先輩を真っ直ぐに見つめて。
「雅を解放してあげる」
その瞳を優しく細めて微笑んでくれた。
その優しい瞳はそのままあたしのほうへと向けられて。
「この間はゴメンね」
「え…あの……」
なんて答えたらいいのかわからなくて、オドオドするあたしを見つめたまま。
「雅のこと、好き?」
香織さんのこの質問には、なんの迷いもなく答えられる。
「はい、好きです」
「そう…良かった」
それだけ言うと、香織さんは踵を返して来た道を戻っていく。
振り返る瞬間に見えた涙、小さく震える肩。
だけど、振り返った香織さんの後ろ姿は凛としていて誰よりも強く見えた。
今までの彼女は確かに弱かったかもしれない。
先輩に寄り掛かって、その弱さを埋めていたのかもしれない。
それはきっと、先輩も同じだった。
先輩にとっても香織さんは“支え”だったはずだ。

