文化祭まであと2週間を切ったある日。
いつものように教室で文化祭の準備が行われていた。
被服部の子たちが率先して手掛けた、メイド服が完成したと連絡が入って。
女子たち数人のクループに別れて、順番に衣装のチェックをすることになった。
あらかじめ確保しておいた空き教室。
そこを物置兼更衣室代わりに使うことにしてあった。
紺色のワンピースに真っ白なフリフリのエプロン。
まあ、これが横道なメイド服?
もう一着は、真っ白なレースたっぷりのワンピースにピンクのフリフリエプロン。
…これって、メイドなの?
っていうくらい、乙女チックな衣装を前に思わずたじろぐあたしを。
背後から、ガッシリと抱え込む彼女…衣装担当、梓。
「葵はもちろん、白でしょ~!!」
「えぇーっ、やだ~」
バタバタと暴れるあたしをいとも簡単に押さえつけて。
「ヤダとか言わない。これ葵のために作ったんだから」
フフン、と鼻を鳴らす梓を睨みつけてもどこ吹く風、まったく動じない。
「はいはい、チャチャッと着替える!」
無理やり真っ白なワンピースをあたしに持たせて。
そのままパーティションで仕切られた簡易更衣室へと押し込められた。

