廊下に出れば、生徒だけじゃなく一般客もたくさんいて廊下の先がよく見えない。
先輩の姿を探すけれど、ちびっ子のあたしはその人混みの中に埋もれてしまって探すどころの話ではなかった。
先輩が行きそうなところなんて、あの隠れ家くらいしか思いつかなくて。
その前に、まずはこの服を着替えて…なんて考えているところで。
「遅い」
後ろからあたしを抱きかかえるように伸びてきた大きな腕に、簡単に捕獲されてしまう。
「お、お待たせしました」
こんな人前でまさか抱き締められるなんて思っていなかったから。
きっと真っ赤な顔してる。
「行くぞ」
「はい」
フッと笑った先輩は、あたしの体を解放すると。
あたし前のように、あたしの手を取って人混みを縫うように進んでいく。
先輩の大きな背中があたしを人混みから守ってくれるおかげで、歩きづらさを感じなかった。
「…他の男に撮られてんなよ」
繋いだ手が、キュッと強く握られて。
チラッと見えた先輩の顔が不機嫌と言うかちょっと不貞腐れているようにも見えて、クスッと笑ってしまう。
梓が言ったとおり、少し横暴で井上くんがかわいそうに思うけど。
先輩のヤキモチ、嬉しいかも。

