◇ヌードで魅せて◇



そんなあたしたちのところに、背後から大きな影が重なってきて。

フワッと感じる香水で、それが誰かすぐにわかる。


「何やってんの?」

「先輩! 前に井上くん……」


振り返って、井上くんに撮ってもらった写真を見せようとしたけれど。

先輩の視線はあたしを通り越して、井上くんに向っていた。


「これ、撮ったの井上?」

「はい、そうですけど……」

「ふーん、いい写真だな」

「あ、ありがとうございます」


井上くん、吉良先輩のこと憧れてるって言ってた。

そんな憧れの先輩に自分の写真を褒めてもらえたら、それはもう天にも昇る……


「それ、消しとけよ」

「えっ?」


先輩の言葉に、あたしたちは一斉に先輩に視線を向けた。

先輩は気にすることなく真っ直ぐに井上くんを見て。


「葵の写ってるの、消せ」


それだけ言って、スタスタと歩いていってしまう。


「うわーっ…横暴」

「あはは、葵、愛されてんね」

「へっ!?」


梓の呆れた声と、美帆の楽しそうな声。

真っ赤になるあたしを見て、二人はクスクス笑ってる。

だけど、先輩に睨まれた井上くんは引きつった顔のまま固まっている。


「井上くん、ゴメンね」


あたしが謝ったところで、どうしようもないのだけれど。

それだけ言ってから、教室を出て行った先輩を追いかけた。