そんなあたしたちのところに、背後から大きな影が重なってきて。
フワッと感じる香水で、それが誰かすぐにわかる。
「何やってんの?」
「先輩! 前に井上くん……」
振り返って、井上くんに撮ってもらった写真を見せようとしたけれど。
先輩の視線はあたしを通り越して、井上くんに向っていた。
「これ、撮ったの井上?」
「はい、そうですけど……」
「ふーん、いい写真だな」
「あ、ありがとうございます」
井上くん、吉良先輩のこと憧れてるって言ってた。
そんな憧れの先輩に自分の写真を褒めてもらえたら、それはもう天にも昇る……
「それ、消しとけよ」
「えっ?」
先輩の言葉に、あたしたちは一斉に先輩に視線を向けた。
先輩は気にすることなく真っ直ぐに井上くんを見て。
「葵の写ってるの、消せ」
それだけ言って、スタスタと歩いていってしまう。
「うわーっ…横暴」
「あはは、葵、愛されてんね」
「へっ!?」
梓の呆れた声と、美帆の楽しそうな声。
真っ赤になるあたしを見て、二人はクスクス笑ってる。
だけど、先輩に睨まれた井上くんは引きつった顔のまま固まっている。
「井上くん、ゴメンね」
あたしが謝ったところで、どうしようもないのだけれど。
それだけ言ってから、教室を出て行った先輩を追いかけた。

