◇ヌードで魅せて◇



美帆に頼まれたコーヒーを先輩に持っていくと。

眉間に寄せられたシワが、その瞬間だけ緩く解かれて。

そのかわりに穏やかな笑みを作る。


無愛想だと思った先輩が、こんなに優しい顔ができるなんて思ってなかった。

あたしの前で微笑んでくれるのは大歓迎だけど、今みたいにたくさんの人がいる前ではなんだか面白くない。

周りにいる女の子が、チラチラと先輩を盗み見しては頬を染めてたりするんだもん。


「何、ムスッとしてんの?」

「…知りません」


先輩が笑うから、なんて思わず口から零れ落ちれば。

ククッと声を殺して笑いながら、あたしの頭をクシャッと撫でた。


「もう終わる?」

「あと5分です」

「ん、じゃああと少し…我慢しとく」


そう言って、あたしにだけ見えるように優しく瞳を細めた先輩のかっこよさに、すごくドキドキする。

最後の5分、このままここにいちゃ…ダメかな?


結局、サボってることがクラスメイトにバレて。

最後の5分は馬車馬のように働かされた。

人使い荒いよ、なんて不満を口にしながらも。

自分で思っている以上に張り切っていたような気がする。