◇ヌードで魅せて◇



「葵、3番にケーキ持っていってーっ」

「はーい!」


先輩と美帆が何か話しているように見えて、そっちばかり気になって気が気じゃないけど。

今はとにかく頑張って、自分の役目を全うしよう。


「葵、これ運んだら、次はこっちね」


いつの間にか仕事に戻った美帆が、コーヒーを作りながら声をかけた。


「了解。で、どこの席?」

「5番。先輩のところ」


美帆にそう言われて、ちょっとムッとした。

膨れっ面のあたしを見て、美帆は呆れたような笑みを浮かべながら。


「ボディーガードってところかしら」

「何が?」

「葵のそんな可愛い格好を見て、気が気じゃないってことよ」


気が気じゃない…って。

何言ってるの、とチラッと先輩に視線を向ければ。

こわーい顔してる先輩が目に入る。


「牽制してる、葵に近づくなって」

「ハハ、何それ。美帆の考えすぎ」

「そう? じゃなきゃ、あんなに堂々と葵の手を引きながら教室の歩く必要も、葵見つめえて優しく微笑むこともしなくていい気もするけどね」


ヤキモチでしょ、と。

まさかそんなこと…と思いならがまたそっと先輩を見てみれば、まるであたしを監視しているかのようにジーッとこちらを見ていた。

そんな先輩を目が合って、ニコリ笑って手を振る。

うん、大丈夫。ちゃんと笑えたと思う。