◇ヌードで魅せて◇



「お帰りなさいませ、ご主人っ…あ」


美帆のその少し間抜けな声に、みんなが振り返る。


「えっ、何、葵!?」


吉良先輩に手を引かれながら教室の中を横切るあたしを見て、みんなが驚きで目を丸くしているのがわかった。

それもそうだ、あれだけ“嫌い”だと言ってきた先輩に手を引かれて、真っ赤な顔してるあたしがそこにいるのだから。


恥ずかしさと、嬉しさと、ほんのちょっとの優越感。

先輩と手を繋いでるんだぞ、なんて見せびらかしたいあたしは性格悪いのかも。

でも、人前で堂々とあたしに触れてくれる先輩をみて、今すごく幸せだ。


教室の隅っこの空いてる席に着いて、イスにドカッと座った先輩と目が合った。

いつもは見下ろしている瞳が、今はあたしを見上げている。

それだけで、ドキドキしてるあたしは、どれだけこの人に魅せられているのだろう。


そんなことを思っているあたしとは裏腹に。

先輩はあたしの頭の先からつま先までをゆっくりと見ながら、はぁ…と大きく溜息を吐いた。