「葵、そっち持ってーっ!」
「はーい」
今の時間はみんなで看板作り。
美術部のあたしとしては、ここは腕の見せ所。
あたしと同じ美術部の美帆が下書きをして。
それにみんなで色を乗せていく。
あたしの手にはハケと真っ赤なペンキ。
ぺたぺたと豪快に真っ赤なペンキを塗っていく。
「うわっ、飛ばすな~!」
「あはは、ゴメンゴメン」
ハケを持ったままさらに振り回すあたしの周りからは、ギャーギャー騒ぎながらクラスメイトが去っていく。
そんな光景を他人事のように大笑いしては、隣で作業をする美帆に怒られていた。
こんな時間が楽しくてワクワクする。
学校行事大好き。
お祭り大好き。
これからの3週間、クラスのみんなとも仲良くなれるチャンスだし。
みんなで一致団結、“青春”しちゃってる感じがなんともあたしを奮い立たせる。
他のクラスは知らないけれど。
このクラスで良かった…と、笑顔のクラスメイト達を見てしみじみ思うんだ。

