しばらく二人は何も言葉を発することなく。
冷え切った沈黙が、あたしたちに纏う。
カタン…
先輩の手からカメラが離れて、机の上に置かれるのをボーっと眺めていた。
その隣には、あの日見たファイルと彼女の写真。
呆然と立ち尽くすあたしの肩に、フワリとかけられたのは自分が脱ぎ捨てたブラウスで。
「風邪、引くから…」
いつもの抑揚のない冷めた声。
目を逸らされたまま、ブラウス越しに先輩の温もりを微かに感じた。
手を伸ばせば触れられる距離に先輩がいるのに。
その手を伸ばすことは出来ない。
「やっぱり…撮ってはくれないんですね」
わかりました、と。
脱ぎ散らかした制服を乱暴に集めて、ギュッと胸元で抱き締める。
背を向けたままの先輩は、どんな顔で何を思っているのか全然わからなくて。
素早く身なりを整えてここから立ち去ろうとしたときだった。
「モデルの条件は……」
ボソッと零された言葉に、前に進むはずだった足はものとの位置に戻されて。
振り返るとそこには、あたしを真っ直ぐに見遣る先輩がいた。

