◇ヌードで魅せて◇



しばらく二人は何も言葉を発することなく。

冷え切った沈黙が、あたしたちに纏う。


カタン…


先輩の手からカメラが離れて、机の上に置かれるのをボーっと眺めていた。

その隣には、あの日見たファイルと彼女の写真。


呆然と立ち尽くすあたしの肩に、フワリとかけられたのは自分が脱ぎ捨てたブラウスで。


「風邪、引くから…」


いつもの抑揚のない冷めた声。

目を逸らされたまま、ブラウス越しに先輩の温もりを微かに感じた。


手を伸ばせば触れられる距離に先輩がいるのに。

その手を伸ばすことは出来ない。


「やっぱり…撮ってはくれないんですね」


わかりました、と。

脱ぎ散らかした制服を乱暴に集めて、ギュッと胸元で抱き締める。

背を向けたままの先輩は、どんな顔で何を思っているのか全然わからなくて。

素早く身なりを整えてここから立ち去ろうとしたときだった。


「モデルの条件は……」


ボソッと零された言葉に、前に進むはずだった足はものとの位置に戻されて。

振り返るとそこには、あたしを真っ直ぐに見遣る先輩がいた。