やっぱり俺のお気に入り

俺の目に映った光景。



黙々とひたすら泳ぎ続ける水泳部の部員達。



その中でひときわ目立つ奴が一人いた。



軽やかな泳ぎは優雅ささえ感じるような、



そんな泳ぎをする・・・・・そう、それが未来だった。



ゴーグルで最初ははっきりと分からなかったけど、



プールサイドに上がってゴーグルを取った姿は間違えなく未来だった。



2階にある観覧室からはプール全体がよく見える。



未来は何人かの部員の女と時々何か話したりしながら楽しそうに泳いでいた。



前に未来が言っていた言葉を思い出した。



『泳ぐのは好きなの。泳ぐとスッキリするよ。イヤなことや悩んでることなんかある時はとにかく泳ぐ!そしたら全部忘れられるんだ』



泳いでる未来を見ながら思った。



未来には好きなこと、夢中になることがある。



歌うこともそうかもしれない。



泳ぐのもこんなに好きなんだな。



俺には・・・・・何があるんだ??



急にそんな疑問が無意識に浮かんでくる。



俺には・・・・・あるのかよ??



・・・・・ってか・・・・・



何もそんなの・・・・・ないよな??