「どした? さえ、なんかあった?」 勇樹だ。俺の心は一瞬ザワつく。 「え?なんにもないよー。元気元気。」 心なしか、古川は無理やり笑顔を作っているように見えた。 そして、一瞬こちらをみたような気も。 勇樹もそれに気づいたのだろう、 「…やっぱ無理してんじゃん。」 と言って、コツっと古川の頭をこづいた。 ぐしゃっ 俺は心臓を誰かにつかまれたようだ。 …おいおいおい、コツって。コツってなんだよ。 お前はマンガの主人公か! すごく勇樹に苛立ってしまう。いや、 本当は羨ましいんだ。