君に奇跡が起きますように


「キレーな髪だな」

すっ、とあたしの髪に男が触れた瞬間。あたしの中で何かがきれた。


「さわんな!」

思いっきりそいつの腕を振り払う。

それはきっと、その行為が小鳥遊の癖だったからで。

あまりにも小鳥遊と違いすぎて、嫌悪感でいっぱいになってしまった。


「なんだぁ、クソガキがっ!」


さっき大我に掴まれた肩を、今度はこいつに掴まれる。

それでもあたしが男を睨むと、男もキレたのか手を振り上げた。

バシィンッ。

今までで1番強く叩かれたと思う。
それから、今までて1番痛かった。

やっぱり、大人の男は違うなぁ。

しかし、さすがに女に手を上げるのはためらわれたのか、平手打ちだった。


口の中がきれたのがわかった。