君に奇跡が起きますように



「っ!」


やってしまった。

引っかかった。

大我は見かけによらず、頭の回転だけ早い。


あたしは小走りで大我から離れようとする。


「そういう関係だったのか?」

大我はあたしの目の前に立ち、逃げ道を塞いで来た。


「ち、違う」


ふるふると首を振り、否定する。

大我の目は、苦手だ。

嘘がつけなくなる。

と、いうかそういう関係ではないから、嘘じゃないんだけど……。

「じゃあなんなんだよ」
「だから、手なんか繋いでないって」
「香奈」


大我はあたしの肩をつかんだ。

その力に、思わず顔を歪める。


「お前、変わったよ」


「は?なんだよそれ」


イライラ。ぐるぐる。

大我の言葉にあたしは顔をしかめた。