君に奇跡が起きますように



「水澤さん」

「……」

「みーずーさーわさんっ」


「あぁもう、うるさいな!なんだよさっきから!」


放課後、自分の家に帰るあたしを、後ろからちょこちょことついてくる小鳥遊。

それにくわえて、さっきからうざいくらいにちょっかいを出してくるので、あたしはずっと無視していた。


顔を覗き込んでくるので、ぷい、と反対を向いた。

「まだ、怒ってる?」
「な、に、がっ!」


あたしは噛み付くように聞き返す。


「だから、キ……」
「それ以上言ったら2度と喋れないようにするぞ」


ぎろり、睨む。

「……それは嫌だなぁ」


困ったように目を細めて笑う小鳥遊をふん、と無視する。