君に奇跡が起きますように



「あだっ」

頭を思いっきりひっぱたけば、困ったように笑った。


「この、変態すけべ野郎‼︎」
「心外だなぁ。キスだけしかしてないのに」


キスだけってなんだ!


キスだけってなんだ!!!

あたしは心の中て憤慨した。


でも、動揺しているのがばれたら負けな気がして、口には出さない。


「満足したろ!じゃーな!」
「あっ、水澤さん待ってよー」


名残惜しそうに言う小鳥遊を残して、逃げるように教室を出た。



バクバク、心臓が暴れている。

顔は恐らく真っ赤で、もうすぐ冬だというのに熱いくらいだった。

バカだ。


小鳥遊は、バカだ。



でもきっと、私はもっとバカなんだろう。