君に奇跡が起きますように



「水澤さん、可愛い」


そう嬉しそうに呟いて、結局はまた唇に触れてきた。


甘い声と、口づけに、目眩がしそうだった。



やっぱりこいつ、最悪だ。

唇が離れた瞬間、

「こんの……やろう‼︎‼︎」


あたしはガラ空きのみぞおちに拳を叩き込む。


「ガハァッ。な、ナイスパンチ……?」

小鳥遊は腹を抑えてあたしから離れた。

まぁ、それなりに手加減はしているけど……。


「でも、これで分かったよ」
「あぁん⁉︎何がだよ‼︎」


小鳥遊のネクタイを掴んで、グイッと引っ張り凄む。

まだ殴り足りないくらいだ。


「水澤さんが俺を殴ったり蹴ったりする時は、照れ隠しの時なんだなーって」


バシィンッ。