「っ、待て!呼ぶ、から……」
小鳥遊は一瞬驚いたように目を見開いた。自分で呼べって言ったくせに。
「きょ……や……」
は、恥ずかしすぎる。
やっと解放される、と思ったのに、小鳥遊はあたしに追い打ちをかける。
「聞こえない」
「な、嘘つくな!」
「水澤さん」
「……っ」
なぜだかわからないけど、なんなのかわからないけど、胸の奥の方から何かが込み上げてくる。
「京、弥」
「もう一回」
「京弥っ」
何で私がこんなことしなきゃならないんだ。
ムカつく。
気に入らない。
小鳥遊なんか……。
でも、小鳥遊があまりに嬉しそうに笑うから許してしまいそうな自分がいて。

