君に奇跡が起きますように



「元居のことは……大我って呼んでる……」


そう言って、少し拗ねたように目をそらした小鳥遊。

あたしは、ハッと気がついた。


これって、もしかして……。


「ね、呼んで?水澤さん」


小鳥遊は、あたしを抑える力を強めた。


「お前、もしかして大我に妬いて……」

途中で遮られ、行き場のない声は吐息となる。



小鳥遊の唇が、自分のそれに重なっていると気づくのに何秒か必要だった。


「っ、ん」


顔を背けようとするけど、小鳥遊は空いた右手で、しっかりとあたしの頬を抑えていた。


ひんやりと、冷たい手だった。

でもそれもどこか心地よくて。