君に奇跡が起きますように



「──っ!──っ!」


数時間後。

あたしは壁に背中と右手首をピッタリつけて、正面から口を小鳥遊の大きな手で塞がれ、大暴れしていた。

空いている方の手で、張り付いた小鳥遊の手を必死に離そうとするが、びくともしない。


「──っっ!!」


てめぇ、なにしやがる!離せ!馬鹿野郎!と叫ぶが、しっかりと抑えられているので言葉は小鳥遊に届かない。


あたし、さっきまで何してたんだっけ?


こいつのせいで全てぶっ飛んだので、抵抗をやめて思い出す。

あ、そうそう。3限が移動教室だから、芽留と向かってて……。

芽留がトイレに行きたがったので、あたしは外で待ってたんだ。

そしたら、後ろから手が伸びてきて、口を塞がれて、近くの教室に連れ込まれた。

で、今この状況。


「もう行ったかな……」


どうやら芽留の様子を確認していたらしい。