「そんなことない」


あたしは褒められるのがくすぐったくて、そっけなく返した。


「そんなことなくなくないよー?」
「バカにすんな!!」


偉い、偉いなんて言いながら、あたしの頭を撫でる小鳥遊。

あたしは、驚いて飛びのいた。

小鳥遊はあたしの頭を撫でるとき、すっと髪に指を通す。


それは、小鳥遊の癖なのだろうか。



「な、何して……」

触られたところを抑えて問う。

ものすごく心臓に悪い……。

「あぁ、ごめん。可愛かったから、つい」
「殴るぞ?」


ふはっ!と空気みたいに笑う小鳥遊。

その笑顔に、怒るに怒れなくて。


ため息をついて許してしまうのだった。