ガァンッ。
あたしは近くにあったゴミ箱を蹴飛ばした。
倒れて、ゴミが散乱する。
イライラが収まらない。
乱れた息を整えようと、深呼吸した。
まだ秋なのに、吐き出した息が白い。
でも、寒さは感じない。
ただ漠然と、虚しさが残るだけ。
それから、頬にかすかに感じる痛み。
真夜中の狭い路地。
ここがあたしの居場所なんだと思う。
あたしは、つまれたゴミ袋の上に糸が切れたように座り込んだ。
あたしも、ゴミになれば良いんだ。
その時、ガサッと何かを踏む音が聞こえた。
それは、あたしが蹴ったゴミ箱から出たものだった。
今度は何。とうんざりしながらそちらに目を向ける。
もう疲れたし、何もしたくない。

