君に奇跡が起きますように



小鳥遊に聞かれてぎくりとする。


「な、何が?」
「なんか今日は積極的だなーって」


ふはっ、と空気みたいに笑う。

空気みたい。本当に。

上手く言えないけど、小鳥遊が笑うと周りの空気が柔らかくなる。

ふわーって。すーって。澄む感じ。


「別に……。ただ、あたしは何も知らないって思って……」


もごもごと言いにくそうにあたしが言う。

小鳥遊は嬉しそうだった。


「知りたい?」
「べ、別に」
「水澤さんにならなんでも教えてあげるよ?」


なんで小鳥遊は、こんなこっぱずかしいことをさらっと言えるのかな。


恥ずかしいなんて単語、小鳥遊の中にはないみたいだ。