「何ー?喧嘩ぁー?」
ほのぼの。
声と表情に対して、言っていることは割と物騒だ。
「ちげーよ、リンチ」
「何それ最悪〜」
「でしょ?」
芽留と笑いながら、隣に座る。
まぁこんなんでも心配してくれてるんだろうけど。
あたしはこの方がいい。気を使わなくて済むし。お互い。
「わー、痛そうだな」
と、一樹も眉を潜めて言った。
一樹は『芽留がよければ全てよし』の精神で生きてるから。
大我は納得いかないというように首を振った。
そしてまたいつものように、芽留が話を始める。
芽留は自分のペースに人を乗せるのが得意だ。
だからあたしたちも、自然と芽留が話し出すのを待つ。
昨日見たテレビの話とか、一樹とのノロケ話とかそんな話だ。

