「香奈!」
学校に行くと、下駄箱で大我が声をかけて来た。
焦ったような声に、面倒なことになりそうだ、と目を合わせないように上履きを取り出す。
「大我。おはよう」
「おはようじゃねえよ!なんだその怪我!骨折か?」
うっ、やっぱり来たか。
慌てたようにあたしに駆け寄る大我。
あたしはうるさいなぁ、とぼやいて耳を塞ぎ、教室に向かう。
「大した怪我じゃないし」
「なくねぇよ!」
「うっわ!香奈、何それ〜ウケる〜」
教室に入るなり、芽留が高い声で笑った。
「な?」
芽留の態度にぐうの音も出ない大我にしたり顔で笑ってやる。
芽留は色々と適当すぎるところがあるから、こういう反応するだろうとわかっていた。
大我からして見れば驚きなのだろうが。

