「水澤さん」
「こんなあたしに、優しくする、意味、ない」
時間の無駄じゃないか。
こんなカーストの最底辺にいるようなあたしに。優しく、するなんて。
理由がわからない。
考えていることがわからない。
「水澤さん!」
ギュッと、手を握られて硬直した。
はぁ、はぁと息切れして、顔が上気する。
息苦しい。
海の底にいるみたいだ。
「水澤さん、それはね。俺が水澤さんのことが好きだからだよ」
「っ!」
「水澤さんが好きだから、優しくしたいって思うんだよ」
真っ直ぐで嘘のない言葉と、瞳。
あたしは今度こそ目に涙が滲んだ。
何かが剥がれ落ちるように、言葉が出て行った。

