わかってる……。
そんなの、ずっと前から分かってるよ。
「俺は、水澤さんに嫌な目にあうのは嫌だ」
でも、仕方ないじゃないか。
あそこに行くなって言うなら、あたしはどうしたらいい?
「……そんなの、お前関係無い」
「あるよ」
「無い!」
「あるって」
だから、なんで……。
「っ、なんでお前は!あたしに構うんだよ‼︎なんでそうやって、あたしなんか心配すんの?優しくすんの?全然、意味わかんねぇよ!」
一度口を開くと、まるでダムが崩壊したように言葉が溢れ出す。
怒りや、哀しみや、痛みや、辛さ。
そんなものでぐちゃぐちゃになって溜まった、真っ黒な膿を吐き出すように、言葉を投げつけたけれど、そんなことで楽になれるはずがなかった。
ただひたすらに、虚しさが残る。

