「ん……っ」
「あ、水澤さん。起きた?」
寝起き一番に見たのは、どこか嬉しそうな小鳥遊の顔。
「ん……」
「はい。熱計って」
さっき起きたときよりも体は軽くなっていて、腕はすんなりと動いた。
渡された体温計を受け取り、寝ぼけた頭で考える。
なんでこんな風に……。
「水澤さん、お家の人に連絡した方が……。心配してるんじゃないかな」
「いい。心配してない、から」
あたしがいないことにも気づいてなかったりして。
そんなことを思って自嘲を含んだ笑みがこぼれそうになる。
小鳥遊はそんなあたしを見て、少し首を傾げた。
が、すぐにいつもの調子に戻る。

