「俺、倒れてる水澤さん見て、心臓が止まるかと思ったんだから。手遅れだったらどうしようって」
気づいてしまった。
こいつがいつも路地裏に来ていたのは、喧嘩をやめさせようとしていたんだ。
「大変だったんだよ?水澤さんおぶって病院つれて行くの!俺、運動は得意じゃないんだから……」
そういって小鳥遊は困ったように笑った。
あたしを笑わせようとしているのだろうな。
そんな小鳥遊はやがて目を伏せる。
「でも、ごめん。もっと早く行けば、どうにかなってかもしれないのに」
「……そんな貧弱なのに?」
「バカだなぁ。俺が喧嘩するわけないでしょ?警察呼ぶとか、ね」
ごめんね、と謝りながらあたしの頭を撫でるそいつ。
ひんやりと、冷たかった。

