君に奇跡が起きますように



ピチョン。

水が跳ねるような音がした。


瞼がピクリと反応する。

ゆっくりと目を開けると、見慣れない光景がそこにあった。



白で統一された、殺風景な部屋。
充満するアイツの匂い。


頭が追いつかない。

なにか、夢を見ているんじゃないかと考えた。


「水澤さんっ!」


ニュッと、小鳥遊の顔がどこからか出てきた。

あたしは起き上がろうとしたが、体が動かなかった。

同時に感覚が戻って来て、痛みを感じる。

目だけを動かして、小鳥遊を見る。

その表情には焦り、怒り、安堵。色々な感情が入り交じっていた。


「体、が……いた、い」

あたしは縋るように言った。

声はかすれていて、からからと喉がなった。