足音が遠ざかっていく。
それと同時にあたしの意識も遠ざかっていく。
どうにか立ち上がろうとして、力を込めるが、動いたのは指先だけだった。
どこにどうやって命令を出せば、体が動くのか、脳は忘れてしまったみたいだ。
身体中が痛い。
きっとたくさん痣があるし、
骨も折れている感じがする。
わかっていたんだ。
自分のしていることが、ろくなことじゃないってことくらい。
本気で死ぬかも……。
バカみたいだ。
自業自得だろう。
こんなんじゃ、あいつも呆れるだろうな。
もういい、どうでも。
「水澤さんっ!?」
朦朧とする意識の中で最後に聞いたのは、焦ったようなあいつの声だった。

