小鳥遊京弥。

心の中で呟いた。
学校を休みがちなあたしですら、顔と名前が一致する。

校内有名人だ。


長身で、少し癖のある、色素の薄い髪の毛。整った顔立ち。

テストの成績は常に上位。


学年を問わずしょっちゅう色んな人に告られているらしい。

そんな彼だから、あたしが一方的に知っているだけだったのだ。
なのに、そんな奴があたしを知っていて、あたしに告白するとか、あり得ない。


罰ゲームか何かか。
だとしたら大迷惑だ。


「ごめん、お待たせ」


少し離れたところで待っていた友人に声をかけた。


「おっそーい。てか!今話してたの、小鳥遊?だったよね。知り合いなの?」


ジュースの紙パックをへこませながら、私に言うのは神田芽留。
あたしとタイプが似ているので、よくつるんでいる。


「全然。つか、人違いだった」